
京都の陶器屋さんが海の向こうのドイツちゅう国にある「かーるつぁいす」ちゅうレンズ屋さんと一緒に、『こんたっくす』ちゅう写真機を「作って売っとったそうな。
ところが、今年の9月になって京都の陶器屋さんが急に
「わしゃもう、『こんたっくす』はうらん」
といったからさぁ大変。
国中から『こんたっくす』の写真機が消えてしまいよったそうな。
熊男はこの『こんたっくす』の電子からくり写真機がほしゅーてほしゅーて仕方がなく、今年の暮れには買おうとずーっと思っておったそうな。
ところが、夏の盛りに京都の陶器屋さんが『こんたっくす』をもう売らんという。
慌てた熊男が気付いた頃には国中の店先から『こんたっくす』の電子からくり写真機は姿を消しておった。
一度は仕方がないと思ってあきらめかけた熊男は、他の電子からくり写真機を探してみたがどうにも気に入るものがない。
かといって「やふ~」というところで「おーくしょん」で探すのはどうも気が進まない。
困った熊男は、仕事で立ち寄る宿場ごとに写真機屋をのぞき、店主に『こんたっくす』の電子からくり写真機が見つかったら連絡してほしいと頼みまわっておったそうじゃ。
ところが昨日江戸のはずれに写真機屋を訪ねて店主に話をすると、
「たしか、店に飾とったやつが奥にしまい込んであるはずじゃ。ちょっと待っとれ、今探してみっから」
と店の奥から、なんと『こんたっくす』の電子からくり写真機を持って出てくるではないか。
「こ、これじゃ!わしがさがしとったんは電子からくり写真機じゃ!」
「こりゃ、客がちょっと触ったりしとるで、裏の画面にちょっとばっかし傷いっとるが、電池を入れたことがないじゃ。ちょっとばっかし動かしてみるべ」
そう言って、店の主人は『こんたっくす』の電子からくり写真機に電池を入れた。
するとなんと、ちゃーんと動くではないか。
「うん、ちゃんと動きよる。お前さんこれがほしいのかね」
「うんだ、ずっと探しとっただよ」
「店に飾とったで、入れ物や無線起動札なんかがないんじゃが、もしお前さんさえよかったら買わんかね」
「お、おやじさ、さん! なんぼで売ってくれるとね」
「うーん、この『こんたっくす』の電子からくり写真機はもともといくらじゃったかのう、えーっと、おお、12万8000円の税別じゃな。そうじゃなぁ、店に飾とったもんじゃから、定価の2割で2万5千600円、いや、600円は取って2万5000円でどうじゃ。もちろん保証もつい取る」
熊男は驚いた。
「ほ、ほんまにその値段でうってくれるだか?」
「あぁ、お前さんならこの写真機も大事にしてくれるじゃろう」
なんと、熊男は2万5000円年貢込みで『こんたっくす』の電子からくり写真機を手に入れた。
それから熊雄は大事に大事に『こんたっくす』の電子からくり写真機を使っておるそうな。
めでたしめでたし。
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