2005/08/22

タイ人同士

今回の訪タイ時に、タイ人の友人が「家を買ったから見に来い」というのでその家を見に行った。
スリン出身の彼はバンコクの大学を出て今は日系企業で働いており、4年ほど前にやはり同郷のスリンの女性と結婚した。
買った家というのは彼らの新居だ。
朝10時過ぎに、BTSのプラカノンの駅で友人夫婦と待ち合わせし、そこからタクシーでソイプラカノン(スクムビットソイ71)からラムカムヘン抜け、ま だ真直ぐ行き左手にあるカルフールを抜けて3分ほど走ると右折、舗装もまともでない野っぱらの道を行くと、途中オープンテレスのレストランが2つほど見え たら左折、また道なりに行くと右手にイスラムのお寺?が見えた。そのまま真直ぐ行くと急にちゃんと舗装された住宅街が見えてきた。この住宅地の一角に彼が 買った家があった。


タクシーをおり、立ち並ぶ住宅街の家に彼ら夫婦が入る。

がここは彼の家ではなく彼のお姉さんの家であった。
ひとしきり挨拶を済ませると、彼が家を見に行こうという。
三軒隣にその家はあった。いやあったにはあったが・・・。そこは壁と屋根だけで、壁も一部取り壊してある。
二人のおばさんが瓦礫を片付けている。
話はこうだ。彼は建てかけで途中でほったらかしになっていた家を買って、リフォームをしている途中だったのだ。
これを私に見せたかったのか?
ちょっと戸惑った私に、彼が話かける。
「6月から家を作り変えているんだ。」
えっ?6月から今は8月だぞ。それにしては何も出来てない。
「友達に頼んだ。お金も払ったのだけどなかなか進まない。今日これからその友達と話をするんだ」
なんで、そんな時に俺を呼ぶんだ!!

10分ほど彼の家を見て、彼のお姉さんの家に帰る。氷をいれて冷たくしたペプシを飲みながらお姉さんの子供(女の子)に不思議そうに眺められながらいつしかおもちゃにされていた。
わずかな時間に家には何人もの人がやって来る。日本人が珍しいらしい。
で、ふと気づいた。みんなイサーン弁なのだ。
後で聞いた話だが、このエリアの住宅街はほとんどイサーン人なのだそうだ。
まぁ、これだけの家が買えるのだから金持ちではないが決して貧乏ではない。中流ちょっと下といったところなのだと思う。値段は聞かなかったが50万Bくらいあれば買えるのではないだろうか。(まぁ、家の大きさにもよるのだろうが)

で、お邪魔して1時間ほどすると、料理が並べられる。タイル敷きの上にゴザを引いてその上にイサーン料理が並ぶ。
私用だろう、ガイヤーン(まぁ鳥の丸焼きですね)にカオニァオ(餅米です)にゲーンキヨワーン(グリーンカレー)に、私が好きなマンムアン(マンゴー)にサパロット(パイナップル)や、ララムヤイ(竜眼っていうのかな)が並ぶ。
じゃぁ、ということでいつの間にか、なついてしまった子供を膝に抱え食事をしていると、知らない人間が一人、また一人とやってくる。結局8人の大人数で楽 しく食事をする。もちろんビールやウィスキー(タイウイスキー確かリージェンシーだったと思う)も飲んだりして陽気な食事会だった。
が、食事をあらかた終わると、いきなり話し合いが始まった。イサーン弁というやつは普通に話していてもケンカしている様に聞こえる。怒っているのかと思うと笑い声が聞こえる。
で、どうも、私の向かいに座っている男性が大工らしい。彼が施行を受けたのだ。
話の内容はこうだ。お金を払ったのになかなか工事が進まない。いつ出来るのかということだ。
大工の彼がいう、
「あれは立ってから大分立っているからちゃんと作らないと危ない。だから時間がかかる。」
「それは分かったがお金は払ったのだから早くしてほしい」
そんな押し問答が続いた時、友人が僕に急に話を振った。
「YUKI。日本ならこういう時はどうするのか?」
彼が私をここに連れて来たのはこれが目的だった。
つまり、彼と大工は友達だ。初めは友達だから安くやるとか、なんとかそういった話で進んだのだろう。そして前金も渡した。しかし大工は仕事をしない。
何度か柔らかく、いつ出来るのかみたいな話合いもあったのだろうがラチがあかない。
そこで、ジャッジメントとして私が登場した訳だ。
こういう場合タイ人よりビジネスにうるさい?日本人の方が彼にとっても都合が良かったわけだ。
一瞬で話の内容を理解した僕はつたないタイ語で話出した。
「契約書はあるのか?」
「ない」
「友達同士でも仕事は仕事だ。今からでも契約をかわした方がいい。ビジネスライクにするべきだ」
と、外国人の意見を聞いた彼と彼の家族はそのほうがいい。明日、早速契約書を作ろうという話になった。
話の場で大工は分かった分かったと言う。これではどうせ明日になったらまた元通りである。
「今ここで紙に書いてチェックシート作った方がいい。お金もいくら払ったか書いた方がいい。それからお互いにサインして、明日もう一度契約書作ればいい」
私は友人の為に大工にトドメを刺した。

こういう事はイサーン人だけではない、タイ人に多い。友達がいるからといって何でも友達に頼んでしまう。
店を紹介してもらったり、何かを都合してもらう程度なら問題ない。
しかし仕事を依頼するとなると話は別である。さらに先にお金を払ったりすればなかなかうまくいかない。
タイ人は人懐っこいし、すぐに友達になった様な気がする。が、それがマイナスに働く事も多いのだ。
帰りのタクシーの中、僕は友人にお説教をする。
「どうして、ちゃんと会社にオーダーしなかった」
「いや、友達が困っていたから」
「それならどこかの会社にオーダーしてその会社に彼を使ってもらう様にすればいいじゃないか」
「そうか、そうすればいいのか」
説教されている彼がぽかんとした顔でそうつぶやいた。
結局バンコク市内に戻ったのは18時を過ぎていた。
あぁ、疲れた。

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