2005/08/11

悪い事?

昨日こんな記事がバンコク週報に載っていた。


■サイアムホテルで売春婦摘発

10日深夜、マッカサン警察署は、ペブリー通りにあるサイアムホテル周辺で売春目的 でたむろしていた18~25歳までのタイ人女性55人を逮捕した。サイアムホテル周辺には大学、タイ愛国党事務所などがあり、以前から問題視されていた。 逮捕された女性らは警察署で調書を取られた後、300バーツの罰金を支払い釈放された。


私も男の端くれだから売春とかかわったことがないなどと馬鹿なことは言わない。
ただこの記事を見てちょっと考えるところがあり取り上げてみた。

まずこの記事について、初めにタイの体質から突っ込むと、どうして300B支払って釈放なのだろう。

以前から問題視されていたなら二度と売春したくなくなるぐらいの罰金を払わせるか、払えなければ施設へ入れるか、強制労働をさせるとか方法はあるような気がする。

が、まず300Bの罰金というのは彼女らが払える金額だからこそ設定されたように感じる。

多額の罰金にしないのは彼女達に払う能力がなく、また払えないからといって施設(刑務所等)へ入れるには設備も行き届いていないし費用もかかる、また強制労働をさせようにもそういった設備もないし仕事もない。

つまり、問題視はしているが撲滅する気はさらさらないように思う。

「しばらく間おとなしくしろ」というお達しというわけだ。

このサイアムホテルは援助交際カフェなどと呼ばれ、MP(マッサージパーラー。日本のソープランドですね)やタニヤ辺りの客にあぶれた女性が集まるとの噂があり(事実そういうこともあるようです)昔から日本人にも有名な所である。

他にも数箇所そういった所もあるし、MPやカラオケ、ゴーゴー、置屋、エスコート、出張マッサージ等々タイには売春を目的とした店やエリアが多数存在する。

では何故問題視しながらこれらを駆逐しないのか。
まず第一の理由はタイにとってそれらが非常に大きな観光資源だからだ。

理由はそれだけではない。

全世界的に売春は悪い事という考えが根底にあるにもかかわらず売春のない国はほとんどない。
日本にもちろん売春は存在するし(タイよりはるかに店も多いしバリエーションにとんでいる)、フランスなどは売春婦登録制だったはずだ。アムステルダムの飾り窓などは有名な観光施設である。

どうしてなのか?

フランスの考え方はこうらしい。(聞き伝えなので間違いかもしれない)売春をする女性は正業につく能力がないまたは経済力も持たない人ということらしい。

能力がない?経済力がない?
日本人の感覚からするとなんのこっちゃという感じだ。

まず能力がない。
これは社会不適合者ということか。一般の社会で生きるためにはルールに従わなければならいし、一定のコミュニケーション能力や業務に対する能力が必要である。実力主義の欧米なら押して知るべしで、能力のないものは仕事もないのである。


次に、経済力がない。

これもピンとこないが、正業に着くためには一定の経済力が必要である。

レストランのスタッフが、宿無しで、1週間も風呂に入ってない着替えもしていないでは成り立たない。

つまり正業と言われるものは最低限の生活基盤が整った者しか勤まらない。


日本の様に国民総中流化が進むと貧乏というものがあまり理解できないが、海外に行くと家がない、食べる事が出来ない人というのは思っている以上に多い。これは決してアジアだけではない、欧米でも同じだ。


そういう人に職を与えるべきだとリベラルな方は言うかもしれないが、街で見かける浮浪者に貴方は手を差し伸べていますか?そういった人たちとコミュニケーションを取っていますか?

もしそうでないならそんなことは言うべきではないし、もともと仕事のそのものがないのだ。


つまり、売春という行為はそういった基盤がなくても可能な職業なのだ。


事実、フランスの売春婦は公園で暮らす人も少なくないし、売春そのものも公園の茂みなどで行われるらしい。


つまりタイでも完全に売春を撲滅してしまうと無職の人間がいっきに増え経済的混乱を招きかねないということだ。


あるホームページで私が書いた本を酷評した女性がいる。
しかし私は彼女の反応は非常に正しいと思う。世間一般の常識から考えれば売春は悪い事だし、どう正当化しようとしても所詮は誤魔化しに過ぎない。


が、売春は本当に悪いことなのだろうか?

誤解を生まないためにもう一度言う、一般常識から考えれば私も売春は悪いことだと思う。

しかし、売春と恋人に金を渡したりプレゼントをしたりするのと何処が違うのか?

精神論の問題?それだけで片付けてよいのか。


契約社会アメリカでは結婚する時に離婚時の財産分与の契約をする人が多い。もともと結婚は契約だという発想だ。慰謝料や財産分与と売春婦を買った時間の手当ての差をどう説明するのか?

根本的に一緒なのではないか?


売春と金貸しは世界最古の職業である。どちらも良い印象がないのは何故か?

売春は悪いというのは教育的に受けた洗脳ではないか?


こういった疑問に答えるように言われる言葉
「それは必要悪だ」
しかし、本当に悪なのか?
考えれば考えるほど悩みは尽きない。

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